憧れの上司が××だった件 御曹司の情事のヒミツは大きすぎて暴けません!(戸瀬つぐみ,夜咲こん,チュールキス)

TL小説

著者      :戸瀬つぐみ
イラストレーター:夜咲こん
レーベル    :チュールキス
出版社     :ジュリアンパブリッシング
出版年月    :2021年9月

ジャンル   :TL、現代物
ヒーロータイプ:イケメンで物腰も穏やかな副社長
ヒロインタイプ:頭は良いが人付き合いは若干苦手。ちょっと妄想癖あり。
Hシーン   : 有り

あらすじ

伊織は副社長付きのの秘書。パワハラに遭って窮地に陥っていたところを救われて以来、彼に想いを寄せている。ある日、女性社員が彼に告白している現場に遭遇し、「片思いをしている人がいるが、その人の恋人になれない事情がある」と言って断っているのを聞いてしまう。自分も失恋確定か・・・とショックを受けると同時に「彼ほどの人が恋人になれない事情とは・・・まさか不倫?」と妄想が膨らんでしまう。あれこれ理由を考えているうちになぜか副社長が急接近してきて・・・?

ネタバレあり感想

タイトルの「××」には何が入るでしょう?というお話です。

この手のTL小説を読み慣れている方は「あー、はいはい、あれですね」と早い段階でわかると思うんですが、ヒロイン伊織は副社長・和馬が好きな相手と付き合えない理由について、とんちんかんな方向に妄想をたくましくしています。二文字って色々候補があるんだなぁ。

一方でヒーローである和馬が伊織のことを好きだというのも、彼のわかりやすい嫉妬の表現を見ていると読者には分かるんですが、伊織はまさか彼が片思いしている相手が自分だとは思っていません。和馬に誘われ、一緒に食事をしたときに酔いに任せて告白し、「勘違いさせないでほしい。興味ないと振ってくれ」とはっきり言います。

まさか彼女も自分のことを思ってくれていたとは!と嬉しく思う和馬は、彼女を逃がすまいと猛攻をかけますが、しかし彼には「××」の事情がありました。今まで付き合ってきた女の子に「××」のせいで速攻で振られてきたため、非常に慎重になっています。

正直「さっさと事情を話しちゃえばいいのに」と思いますが、和馬は伊織が前の会社のパワハラで男の人が苦手になったことを知っているし、3年くらいずっと伊織に片思いしていたので、事情を知られて嫌われるのが怖くて本当のことがいえません。そのため「俺は女性と付き合うのが苦手」、「男女の行為、つまりセックスが苦手」と婉曲に伝えます。

婉曲、良くない。

案の定、伊織は「男女の(行為)ですね・・・わかりました」と違う方向に勘違いします。

それでも付き合うことを諦めたくない、克服したい、と和馬が言うので、伊織は「行為がなくても一緒にいられるんだったらいいかも」とお試しのお付き合いを提案します。

出たよ、お試し。TL小説の世界で「お試し」、「契約」、「偽装」はこじれる元。

やれやれ、どうなることやらと思って読んでいくんですが、私の想像以上に和馬が積極的でびっくりしました。

「男女の行為が苦手」とか言うから、何もしないのかと思うじゃないですか。伊織も私もそう思ってました。全然そんなことない。ガンガン来る。そのくせ本番はしない。そりゃあ事情を知らない伊織は不安になりますよね。自分に魅力がないのか・・・それともたたないのか・・・

伊織はおとなしいようでいてこの恋を大事にしているので、彼をその気にさせようと色々頑張ったけど、和馬がいつまでも煮え切らないのでショックを受けて気持ちがすれ違ってしまいます。

最終的には追い詰められた和馬が勇気を出して二人は身も心も結ばれます。結ばれた後も伊織はまた別の「××」を勝手に心配して妄想してるんですけどね。

個人的にはもうちょっとコメディ色が強めの方が楽しかったかなぁ、と思います。伊織のとんちんかんな勘違いとか和馬の隠れた奮闘が楽しい話なんですが、ストーリーの中でさらっと消化されてしまうのでもう少しニヤニヤしたかったです。男性の同僚秘書との妄想のあたりとか面白かったんで、もっと誇張して引っ張って欲しかったなー。

総合的には真面目で不器用な二人のラブストーリーでHシーンも適度にあって面白く読めました。重くないお話が好きな方にオススメです。

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