著者 :美森萠
イラストレーター:浅島ヨシユキ
レーベル :ベリーズ文庫
出版社 :スターツ出版
出版年月 :2020年9月
ジャンル :TL、エリート物
ヒーロータイプ:完全無欠系エリート弁護士
ヒロインタイプ:挫折してちょっと後ろ向き
Hシーン :うっすら有り
あらすじ
プロ囲碁棋士の祖父を持ち、自らもプロを目指していたものの叶わなかった夏美は、現在祖父の知り合いの会社で庶務係として働いている。祖父に恩義のある社長から度々見合いを勧められ、あるアクシデントから大学で同じサークルだった拓海に再会する。大学の時にプロ試験の重圧から拓海にひどい言葉を投げつけた過去があり、再開後も気まずくて避けていたが、社長に気に入られた拓海とお見合いすることになると、拓海から契約結婚を持ち掛けられ・・・
ネタバレあり感想
エリートものジャンルのうち、契約結婚ものです。
この手の小説で契約結婚ものって多すぎて、基本あらすじで「あー、契約結婚ものね」と分かるとあんまり読まないんですが、Amazonのあらすじで「独占欲を煽られて押し倒す」的なことが書いてあったので読んでみました(チョロイ)。
まあ、嫉妬に狂って押し倒す流れも多いっちゃ多いですけど、嫌いじゃない。
読んでみるとこのAmazonのあらすじ、順番が微妙に違うような気がしますが、そんなに問題ではないです。
契約結婚モノ全般に言えるんですが、このお話も結論「自縄自縛」ですね。
自分たちのついた嘘で身動き取れなくなる話です。
ヒーローの拓海は明らかにヒロイン夏美が好きで、彼女と付き合いたいと思っているのに、夏美が「自分は拓海を傷つけたし、拓海と自分は住む世界が違う」と避けているので「自分も忘れられない人がいるのに婚約させられそうで困ってるから契約結婚しよう」と持ち掛けます。
そーゆー回りくどいことやって「一緒に暮らしてれば想いが通じるだろう」という男が多いですが、そして実際それで一緒にいるうちに「私も彼のこと好きになってた」ってなりますが、結局「でもこれは所詮契約結婚・・・(涙)」ってヒロインが疑心暗鬼になってグダグダするからやめろや!と思いますね・・・
男だけが悪いわけでもないですが。
でもこの話だと拓海の方がズルいかなー。ズルいというか、意気地なしというか。
読者のこういう感想を代弁してくれるキャラも途中に出てきてくれます。
拓海の意気地なしを「一途なあまり臆病になってる」と好意的に解釈することも可能なので、彼がようやく結婚に持ち込んだ夏美と本当の恋人になりたいと頑張ってる姿を愛でるという楽しみ方もできます。
あとは、夢に破れた夏美が「私はプロになれずお祖父ちゃんの教室も潰してしまった」と卑屈になっていたのが、囲碁への想いを取り戻していくというストーリーもあります。
拓海のお兄ちゃんの恋愛模様が気になったので、この話って実は別作品のスピンオフだったのかな?と思ったのですが、違うようです。
ぜひ拓海兄カップルのお話を読んでみたいなー。