著者 :華藤りえ
イラストレーター:なま
レーベル :蜜猫文庫
出版社 :竹書房
出版年月 :2020年10月
ジャンル :TL、ファンタジー
ヒーロータイプ:ただ者ではないオーラのある貴族、情熱的
ヒロインタイプ:好奇心旺盛で聡明だが、過去の出来事により自分を抑えている
Hシーン :有り
あらすじ
元々はどこかの国の貴族の娘だったマリアは、外交に連れていかれた先で拉致され、その国の死にかけの王子の花嫁にされてしまう。
王子は一命を取り留めたが、マリアはそのまま幽閉され、ある日突然王子から「お前は悪妻だから離縁する」と宣告される。
逆にこれ幸いと新しいパスポートを手に入れて侍女を連れて旅だったマリアは、経由地で窮地に陥り、通りすがりの軍人ディートバルトに助けられる。
マリアの目的地を聞いたディートバルトに同行を申し出られたが、彼は何か思惑があるようで・・・?
ネタバレあり感想
Amazonのページであらすじを見たときは、もっと薄幸の色気のある人妻が主人公なのかと思っていたんですが、清くて前向きな女の子でした。(薄幸はあたってますが)
小さい頃によその国でうっかり指輪を拾ったがために両親と引き離され、王子の花嫁にされたマリア。
そのくせ、王子が一命を取り留めると、まるでいない者のように離宮に幽閉され、飼い殺しにされてきました。
最初のうちは泣き叫んでいたものの、そうしていても何も良いことは起こらないと悟り、自分を抑えて良い子にして、それはそれで上手くいきました。
ある日、好きな人ができた王(いつの間にか王になっているが、会うのは2度目)から「お前が悪妻だから離縁する」とイチャモンをつけられますが、飼い殺しの状況に飽き飽きしていたマリアは「どうぞどうぞ!」と快諾し、その代わりに新しい身分を得て侍女だけを連れて旅立ちます。
このへんの彼女のエネルギッシュで前向きなところが良いです。
ずっと幽閉されてたら「今更外に出されても・・・」となっちゃいそうですが、外の世界が見たい!知りたい!というエネルギーで「王妃は悪妻」と新聞に書き立てられても気になりません。
自分を慕ってついてきてくれた侍女が高熱を出したところを救ってくれたディートバルトに別宅で休ませてもらい、その屋敷のしつらえや彼の物腰から「ただの貴族じゃない」と察するマリア。
逆にディートバルトも素性不明のマリアに対し、その受け答えや物腰から知性を感じ、心惹かれます。
普段から女に言い寄られ慣れているディートバルトは、彼が貴族であることを察したのに全く欲を見せないし、その気もなさそうなマリアに焦れ始めます。
彼の男らしさや優しさに惹かれつつも、自分の素性を考えると結ばれるわけがないと諦めてかかっているマリアに積極的にアプローチして二人は情熱的に結ばれます。
その後もディートバルトの素性からくるすれ違いなんかもあるんですが、ディートバルトは「絶対にマリアを妻にする」と決めているので、様々な壁もなんのそのです。
個人的にはもっと「えろらぶ」を期待してたんですが、「えろ」はわりと普通(?)です。
ベネチアっぽい街を舞台に繰り広げられる恋愛模様、最後は大団円のハッピーエンドで終わるので、情熱的な恋物語がお好きな方はぜひ。