著者 :蒼磨 奏
イラストレーター:Ciel
レーベル :
出版社 :プランタン出版
出版年月 :2016年6月
ジャンル :TL、大正物
ヒーロータイプ:警察のエリートを輩出する家柄、無表情
ヒロインタイプ:健気、美人ではないが笑うと魅力的、意外と口が立つ
Hシーン :有り
あらすじ
呉服屋の娘として生まれた鈴は、幼い頃父母を結核で亡くす。その後、叔父夫婦がやってきて呉服屋を代わって経営し始めたが、鈴を女中として扱い、一切外に出さなかった。叔父夫婦の娘の美弥子だけは鈴に優しくしてくれた。ある日、美弥子に桐生家との見合いがあることが分かり、美弥子は恋仲の書生と駆け落ちする。激怒した叔父は、鈴に美弥子として結婚するよう強要する。嘘をついて結婚することは嫌だが、一生閉じ込められて女中としてこき使われるよりは、と鈴は結婚することにしたが・・・
ネタバレあり感想
作品の感想を書くのに他の作品を引き合いに出すのもアレですが、昨今本屋の棚やマンガサイトでよく見かける『わたしの幸せな結婚』という作品が好きな方は、時代とか作品の雰囲気が似ているのでこちらの小説も好きだと思います。(こちらの方が書かれたのは早いと思いますけど)
大正もので、実家で虐げられてきた女の子が、無表情でクールだけど実は優しい旦那様に愛されて大切にされるお話です。
とは言え、紆余曲折あります。
何しろ、主人公の鈴は従妹の美弥子と偽って嫁いでいます。学校に通わせてもらえなかったので漢字も読めません。美弥子は寡黙な美少女と評判だったので、「噂と違う」と怪しまれます。
でも夫になった宵(しょう)は、ツンと澄ますことなく、軽口を叩く働き者の鈴に好感を持ちます。
一方で、鈴は幼少期の体験から警官が苦手です。しかし宵は警察のエリート。出勤時は制服を着ているため、最初のうち、鈴は怖がっています。
ぎこちなかった二人は、休日のデートをきっかけに心の距離が縮まり、ついでに身体の距離も縮まって仲睦まじくなっていきます。
宵に心を寄せ始めた鈴は美弥子の名前で呼ばれることがつらくなり打ち明けようかと考えますが、宵から「俺は嘘を吐かれるのが大嫌いだ」と言われ、言い出せません。
そんな中、とうとう秘密が明らかになり・・・
無表情な宵が実はかなり鈴に惚れこんでいるところがキュンとするんですよねぇ。
その分、真実が明らかになった時に裏切られたと思う気持ちも大きく、二人はこじれてしまいます。
最終的にはハッピーエンドなんですけどね。
互いを思い合う二人のやり取りが微笑ましく、切なく、とても素敵な作品です。