著者 :ナツ
イラストレーター:SHABON
レーベル :ロイヤルキス
出版社 :ジュリアンパブリッシング
出版年月 :2021年6月
ジャンル :TL、ファンタジー
ヒーロータイプ:強い魔力と美貌を持つ孤高の第三王子。
ヒロインタイプ:おっとりして見えて短気で負けず嫌い。芯が強い。
Hシーン : 有り
あらすじ
伯爵令嬢のレーナは10歳の時に12歳のジークハルト王子と婚約した。魔物王子と呼ばれるジークハルトだったが、レーナは彼のことが好きだった。7年後、政変によりレーナの父親の申し出で婚約破棄することとなった時、ジークハルトからホッとした顔で「良かった」と言われた悲しみを引きずっている。それから更に5年、22歳になったレーナにジークハルトと結婚するように勅命が来て・・・?
ネタバレあり感想
「孤高の魔法使いは初恋の新妻を手放せない」というタイトルは間違ってないですが、私の感想としては「孤高の魔法使いの初恋の新妻は、初恋の孤高の魔法使いを手放さないために頑張ります!」ですね。
ヒーローであるジークハルトが頑張ってないとは言いませんよ?
言いませんけど、ジークハルトが陰でやっていることはヒロインのレーナの望む方向ではないんですよね。
レーナは彼が好きで一緒にいたいのに、ジークハルトはその生い立ち故にとても自己肯定感が低いので、「自分といてもレーナは幸せになれない」と頑なに思い込んで、とにかく距離を取ろうとします。
レーナが自分を好きなはずがない、仮に好きだったとしても幼い頃の刷り込みだと思い込もうとしています。
自分自身も本当はレーナが好きで好きでたまらないのに、手に入らないと諦めている。
そのくせ、レーナと婚約解消した後も、ずっと彼女のことを密かに守り続け、彼女に舞い込む縁談には難癖同様のケチを付け、兄である国王を通じて破談に持ち込む。
そんな彼をメンドクサイと思った&強い魔力を持った弟王子を自分の元に今後も囲い込むため、国王はレーナとジークハルトを結婚させることにします。しかもジークハルトには騙し討ちで。
レーナは国王から「直接、(辺境にある)ジークハルトの城に行くように」言われ、最初は戸惑ったものの、初恋のジークハルトに嫁げる喜びと、過去に婚約破棄を「良かった」と言われた腹いせの両方から「断られるにしても行って困らせてやろう」と考えます。
こういうところがレーナちゃんの強いところですね~。
「断れたら伯爵令嬢の身分を捨てて市井で幸せつかんでやろう」って中々思えないですよね。
まぁ、そんなわけで「押しかけ嫁」がやって来る訳です。
寝耳に水の縁談にジークハルトは兄を問いただすものの、「レーナの安全はおまえが守れ」と言われ、精霊の元に「正式に」結婚することを誓約させられます。
そうして2人は結婚式を挙げて形ばかりの夫婦になります。
ジークハルトは結婚しても、自分にレーナを縛り付けたくないと距離をおいているのですがここで問題になるのが「正式に」結婚するという誓約。
つまり初夜を迎えないと誓約が守られていないことになり、ジークハルトに呪いが降りかかるのです。
でもそこを打開するのがレーナの真っ直ぐさとひたむきなジークハルトへの愛情。
国王であった父と妃であった母の不幸な経緯から愛を信じられない彼をそのまま受け止めて、2人は初夜を迎えます。
幼なじみで両思いで2人とも初体験(ただし閨の知識はある)の初夜!
孤高の魔法使い様が獣になって必死になってるってだけで萌えますね・・・
し・か・も、ジークハルトは誓約の呪いを解くために1回だけのつもりだったのに、次の晩からも新妻が寝室に押しかけてきて、「好きよ」って言われちゃったら口では「部屋へ戻れ」なんて言っても、もう抗えないですよねぇ。
レーナも拒まれるの本当は怖かったと思うんですよね。
でもレーナだってジークハルトに執着してて、彼を諦めることなんてできないから、頑張るんです。
ある意味、レーナの粘り勝ち。
結婚の誓いの時も、抱くときも「いつでもレーナが自分から離れられるように」保険をかけていたジークハルトが、レーナの愛を信じられるようになるまでが丁寧に描かれています。
両片思いな幼なじみの純粋な恋物語(Hシーンあり)が好きな方にオススメです!