魔法薬の取り扱いにはご注意を~騎士様は落ちこぼれ魔法使いを殺したいほど愛したい!?~ (青柳朔,krage,夢中文庫セレナイト) 

TL小説

著者      :青柳朔
イラストレーター:krage
レーベル    :夢中文庫セレナイト
出版社     :夢中文庫
出版年月    :2022年12月

ジャンル   :TL、ファンタジー
ヒーロータイプ:表情が乏しいが、真面目で優しい。騎士。
ヒロインタイプ:落ちこぼれと言われながらも自分に出来ることを一生懸命頑張る魔力持ち。
Hシーン   : 無し

あらすじ

モニカは偉大なる魔法使いルイスの末の弟子。魔力は少ないながらも独り立ちして町中で魔法薬の店を開いている。ある日、ルイスが亡くなったので彼が使っていた王宮内の部屋を片づけてくれ、と騎士が訪ねてきて・・・?

ネタバレあり感想

割と短めのシンプルなお話ですが、何だか優しい気持ちになれる作品です。

モニカは育児放棄の母親に追い出され彷徨っていたところを偶然、王国で一番有名な魔法使いのルイスに拾われます。彼はモニカの他にも沢山の弟子を抱えており、モニカはルイスと兄弟子たちに育てられてきました。

ルイスはもちろんのこと、兄弟子たちも魔法使いとして優秀でしたが、モニカには彼らほど魔力がありませんでした。
そのため、偉大なルイスの弟子になりたかったその他大勢の魔法使いから「出来損ないのくせに」とやっかまれ、蔑まれています。
それでも、彼らの背中を追って魔法使いになりたいと願い、ルイスの教えを受けて魔道具や魔法薬の取り扱いに特化して学び、自分の店を持てるまでになりました。

そんなある日、店に王宮の騎士・サディアスが訪れ、ルイスが亡くなったので、彼が使っていた部屋を片づけてくれ、と依頼されます。
王宮には優秀な兄たちが勤めているのになぜ私が?と聞いても、彼らは忙しく断られた、と言われ、渋々サディアスと一緒に王宮の片づけに向かいます。

ルイスの部屋は本や書類、魔法薬や魔道具であふれかえっています。
2人で片づけているうちに、不安定な棚から魔法薬が落ちてきてサディアスにかかってしまいます。
何の薬か分からない物をかぶってしまったサディアスに「異変はありませんか!?」と問いかけると、彼は「・・・なんだか無性にあなたを殺してしまいたくなる」と言い出し・・・!?

というところで長い導入説明終わりです。
上の台詞に続けてサディアスが「あなたを見ていると落ち着かなくなるし胸の奥がむずむずして気分が悪いし無性にイライラする」というので、読者的には「おやぁ?(生ぬるい笑み)」と思うのですが、モニカはまさかこの無口で無表情で四角四面な感じのする騎士がそういう方向の発言をすると思わないので「自分の命が危うい」と思います。

「離れていると効果が薄れるみたいだ」と言われ、次の日からは別な騎士が片づけに来るのかと思いきや、次の日もサディアスが来ます。
「あなたが目の届かないところにいると落ち着かなくてまったく仕事にならない(以下略)」
読者は生ぬるい笑みが止まりません。
まぁ、モニカは相変わらず違う方向に解釈するんですが。

TLで怪しい魔法薬と言ったら、惚れ薬か媚薬か!?と期待していたのですが、このお話、濡れ場はありません。
薬の正体もお読みいただくとして。
読み終わった後でも、どこまでが師匠ルイスの差し金だったのかなぁ、と分からない部分があります。
てっきり、「ルイスは実は死んでない説」もしくは「ルイスは死んでるけど、兄弟子たちに後のことを仕込んでた説」だと思ってたんですが、どうやら全ては運命?

恋物語はありますが、どちらかというとモニカの成長物語でしょうか。
師匠や兄弟子たちがモニカを慈しみ、大事に見守り、「君には君の出来ること、君にしか出来ないことがあるんだよ」と口にせずとも伝えていることに彼女が気づくまでが描かれています。

兄弟子たちが魅力的すぎてちょっとサディアスが不憫になるくらいですが、最終的にはモニカも彼の良さに気づいて恋は盲目になれるのでハッピーエンド!
そんなお話が好きな方にオススメです!

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