著者 :犬咲
イラストレーター:鈴ノ助
レーベル :フェアリーキス
出版社 :ジュリアンパブリッシング
出版年月 :2022年11月
ジャンル :TL、ファンタジー
ヒーロータイプ:魔術師団の魔剣士。黙っていれば凜々しい見た目だが空気が読めないワンコタイプ。
ヒロインタイプ:王国の第一王女。理知的で我慢強い。兄妹に比べて地味な見た目を気にしている。
Hシーン : 有り
あらすじ
アイビン王国の第一王女アメリアは16歳の時にオムルハ王国に嫁ぎ11年。年の離れた夫との間に子は出来ず、夫の死により母国に戻ってきた。父王により新たな縁談が組まれたが、婚約者には恋人がおり疎まれた挙げ句に海に突き落とされてしまう。護衛として付いてきていた魔術師団の剣士が助けてくれて2人で無人島生活をすることに・・・!?
ネタバレあり感想
昨日書いた「あっさり、物に釣られて」のスピンオフです。
「あっさり~」の主人公、クラリッサの弟マクスウェルがヒーローとして出てきます。
ほぼ同時期の話なのですが、「あっさり~」を読んでからの方が登場人物の関係性や背景が分かって良いと思います。
「あっさり~」でもマクスウェルは出てきて、個性の強いキャラっぷりを見せています。
ある意味、オバカキャラというかネタキャラっぽかったので、まさか彼がヒーローになるとは・・・
でも「あっさり~」のヒーローも真面目さと一途さが変な方向に行ってるキャラだったしな・・・
雑な類型で言うとマクスウェルは「年下ワンコ攻め」です。
正直言うと、私個人としては「年下」「ワンコ」はそんなに萌えない要素です。
ですが、それはそれとして、マクスウェルのキャラクターは好きです。
マクスウェルは本文中でも、周囲の人に「大型犬みたい」とワンコ扱いされています。
でも、一見空気の読めないおバカキャラなんですけど、彼はその本質を周囲に信用されているんですよね。
あらすじにもある通り、ヒロインである王女アメリアは護衛のマクスウェルと無人島に流れ着き、しばらく2人きりで生活することになります。
彼らの行方を捜す王宮の面々の話し合いの中で、とある人物が「若い男女が2人で過ごしていたら間違いが起こるかも」的なことを言うのですが、マクスウェルを知る人たちは全然心配してない。
そういうところ良いな、と思いました。
純粋で裏表が無くて真っ直ぐなんですよね。
そんでもって生活力が強い!
彼は剣士でありつつ、魔力持ちでもあるので、無人島に流れ着いてすぐに休むところを作り、魚を捕まえ、鶏をさばき、火をおこし、料理して、お風呂まで沸かしてくれる。
いつでも明るくて「姫様の騎士としてお役に立てて嬉しい!」と全く苦にしていない。
国のために他国に嫁ぎ、不自由な生活に耐え、母国に帰されてからは不実な婚約者と上手くいかず。
「出戻りの子どもの産めない年増」と内心で自分を貶めているアメリアを「姫様は何でも知っていてすごい!」「姫様は肌も白くて髪も艶々で可愛い!」とマクスウェルは全肯定してくれます。
そんなん惚れてまうよなぁ~
でもマクスウェルは何だかんだ言って伯爵家の跡継ぎ。
子どもの産めない自分が嫁いでいい相手じゃ無い。
ましてや自分は年上の出戻り。
身分の釣り合う若くて可愛い令嬢はいっぱいいる・・・
互いに想い合っているのに、彼を想うからこそ受け入れられずに求愛を拒否するアメリア。
それに対するマクスウェルは本当にピュアな男やで。
「あなたがそれ気にするなら自分は○○する。だから結婚しましょう!」と。
自分にとってアメリアだけが大事なのだ、と。
アメリアの気遣いも不安も全部台無しにするようなことを言ってきて、アメリアの本音を揺さぶってくる。
そりゃあ、アメリアも語彙力無くなって子どもみたいに罵倒しちゃうよね(可愛い)。
彼以外の男にはアメリアの身も心も攫うことはできなかった、と思わせる熱いシーンでした。
そういえば、出番は少なめだけど美味しいところを取っていく兄の王太子が素敵なので、彼のスピンオフも出たら嬉しいなぁ~
なんでまだ独身なんだろ。
「あっさり~」同様Hシーンもしっかりあります。ぴかぴかの童貞によるおねだりHもたっぷりですので、性癖に刺さる方にも、刺さらない方にもオススメです!