著者 :芦名りせ
イラストレーター:駒田 ハチ
レーベル :ヴァニラ文庫
出版社 :ハーパーコリンズ・ジャパン
出版年月 :2017年3月
ジャンル :TL、ファンタジー
ヒーロータイプ:第二王子。金髪碧眼で物腰柔らかな貴公子。
ヒロインタイプ:伯爵家の令嬢。控えめで心優しく純粋。
Hシーン : 有り
あらすじ
伯爵家の令嬢リゼットは10歳の時、大祖母の墓前で王子様のような見た目の少年に出会う。亡き大祖母が言っていた「あなたにもきっといつか王子さまが現れますよ」という言葉そのもののような出会いに胸をときめかせるものの、1度きりの出会いはいつしか想い出に。しかし14歳で初めて参加した舞踏会で彼に再会し、その場でプロポーズされて・・・?
ネタバレあり感想
Amazonのあらすじに「幼なじみで両片思いのすれ違いドキドキ新婚生活」と書いてあり、気になったので読みました。
しかし、ストーリーの序盤からして、出会った瞬間にお互い惹かれるものがあり、再開してからも2人とも4年前の出会いを覚えていて両想いですぐさまプロポーズされて、なんの反対もなくトントン拍子に婚約に進んで行くので「あれ?両片思いって見た気がしたけど、見間違いだったか??」と困惑しました。
「王子様のような少年」はホンマもんの王子様で、まぁ、そこは全然障害にならないんですが、彼らの住む国では、良家の子息は17歳になると他国へ留学する決まりがあり、ヒーローのセドリックも17歳から3年間留学に行ってしまいます。
「この留学が2人に待ち受ける困難なのかな?ドキドキ・・・」
と思ったのですが、そこは純粋にお互いを想い合う2人。
頻繁に手紙をやり取りして、互い以外は目に入らず、3年間終了。
あれ?
「何もすれ違い起こらないやんけ」と思っていたところ、なんとヒロインであるリゼットが「3年ぶりに彼に会ったら、めっちゃ背高くなって大人びてカッコよすぎてびびるんですけどー!」状態に。
留学から帰ってきたセドリックをお出迎えに行って、彼のあまりの変貌ぶりに挙動不審になってしまいます。
元々セドリックは王子様属性が強くて、3年前の17歳当時も少年ぽさの残る感じだったのが精悍な大人の美青年に。
体つきも変わって、なんだか違う人に見えて緊張してしまうリゼット。
彼のことは大好き。
彼も私の戸惑いを分かって気遣ってくれてる。
大人になった彼が素敵すぎて、気後れしてしまうけど、ときどき見せる少年のときの面影は変わらない。
きっと大丈夫・・・
リゼットが18歳になって迎えた結婚式。
リゼットの想いとは裏腹に、2人で迎えた初夜でセドリックがリゼットにのしかかってきた時に、急に彼が知らない人のように見えて、思わずリゼットは拒んでしまいます。
うわー、そういう展開かー!
かなり前に他の方の作品でも読んだことある気がするぞ。
久しぶりにあったら彼がカッコよくて色気のある大人になってて、ヒロインが意識しすぎて平静を保てないやつ。
セドリックは優しくてリゼットへの気遣いの鬼なので、もちろんリゼットを責めません。
でもリゼットはセドリックが好きなのに拒んでしまって、彼を傷つけている自分を責めます。
その後も2人で色々と試行錯誤するんですが、上手くいかず、気まずい雰囲気に。
さらに、それを心配した外野のおせっかいがあって、ちょっと改善したり、余計にギクシャクしたり。
互いに互いのことが大好きなのは疑いようがない2人なんですが、とにかく閨事が上手くいかない。
そんな膠着状態を打開するのは「嫉妬」という名のスパイス。
自分だけが相手に触れたい。
そんな想いを募らせたことで、2人は次のステップに進めたのでした。
とにかくセドリックが「ザ・王子様」なんですよ。
ヒロインしか眼中にない。いつも気遣ってくれる。褒めてくれるし、熱い想いを素直に言葉にして差し出してくれる。時には独占欲を見せて拗ねたりもするけど、キュンとさせるだけで闇要素は無し。
でもそんな王子が、次のステップに進んだ後は、念願かなって愛しのヒロインを獣のように愛でたおすので、「はぁ~ようやくこの展開キター!!」って思いましたね。
王子様が丁寧な言葉づかいのまま獣化するの萌えます。
おめでとう、セドリック!
その調子でガンガンいこう!
その後も一波乱あって、とある事情から別れようとするリゼットを身体で堕とすセドリックも良き。
ストーリーの展開上、Hシーンは後半に固まっていますが、それまでのジレジレな足踏みあっての盛り上がりになっています。
「両片思い」と言えるのかは微妙ですが、「なかなか上手くいかないけど、主人公たちが固く想い合っててそこは揺るがない」みたいなストーリーが安心できて好きな方にオススメです!