著者 :日車メレ
イラストレーター:芦原モカ
レーベル :ティアラ文庫
出版社 :フランス書院
出版年月 :2018年11月
ジャンル :TL、ファンタジー
ヒーロータイプ:後ろ盾の無い第三王子、地味にひっそり生きているためウサギ王子と揶揄されている
ヒロインタイプ:ランブロウ伯爵家の一人娘。領地を守るため、気の強いしっかり者と見られている
Hシーン : 有り
あらすじ
ラインブロウ伯爵家の一人娘のプリシラは、領地を守るため婿を探しているが、素行の悪い男ばかりで断っているうちに気が強い生意気な女と噂されるようになっている。ある日、花見の会で絡まれていたプリシラを助けてくれた王子ルイスから婿入りを打診され・・・?
ネタバレあり感想
再読です。
最近Amazonが過去に読んだ作品をお勧めに出してくるんですが、「オマエ、これ好きだろ?」って提示されるやつ、ちょっと期間が空いてもやっぱり好きなんですよね。
そう、それが性癖。
そんなわけで
Amazon君「S系好きやろ?」
私「はい、好きです」
で再読し、そういえばブログに書いてなかったなぁと今回取り上げてみました。
「草食王子、ドSに目覚める」ってすごいタイトルですよね。
初出はもっと穏やかなタイトルだったようですが、書籍化にあたって、お話の本質を突いた、というか、この小説の要約みたいなタイトルになったようです。
タイトルが全てなんですが、私の蛇足を付け加えます。
ヒロインのプリシラは伯爵家の一人娘。凡庸な父に変わって領地経営を学ぶ頑張り屋さん。
一緒に伯爵家を守ってくれる婿を探していますが、言い寄ってくるのはお金目当てのロクデナシばかり。
そんな輩を蹴散らしているうちに、小生意気な娘という評判が立ってしまいます。
そんな彼女に婿の立候補をしてきたのが第三王子のルイス。
パッとしない草食系として「ウサギ王子」と揶揄されている彼は、わざわざ伯爵家に婿入りを希望してくることを不審に思うプリシラに「王位争いから離脱したい」と本音を語り、併せてプリシラの婿になることで伯爵家とプリシラが得られるメリットを説きます。
素行調査もした上で、彼の説明と人となりにプリシラも納得し、そうして利害が一致した2人は契約結婚をすることになります。
ところで、小生意気と思われているプリシラは、実はウブで男慣れしていない純情ガール。
ヒーローのルイスはプリシラに接しているうちに、気が強いしっかり者の表の顔に隠れていた彼女を知り、惹かれます。
野心もなく、ひっそりと目立たず欲しがらず生きてきた第三王子ルイスの中に「彼女を恥ずかしがらせて乱して支配したい」という欲が芽生えます。
この辺、ゾクゾクしますねー。
穏やかでザ・王子様なのにソフトSというか、言葉責めしてくるようなヒーロー、かなり好きなんですが、期待通り、閨のルイスはかなり腹黒。
プリシラが性に疎いので「夫である私が教えます」と開発しつつ羞恥プレイも忘れない。
特に言わせたがりですね。
おまえ、それ言わせるの好きだな・・・ちょっと引くけどそういうの嫌いじゃないぞ。
まぁ、プリシラがしっかり者なのにベッドではグズグズになってしまうので、興奮してもっと恥ずかしがらせたくなっちゃう気持ちは分からないでもない。
離宮への招待編の鏡プレイも好きです。いや~、意地が悪くて最高だなぁ。
契約結婚モノって、期間限定だったり、偽の恋人だったり、脅されて仕方なくだったりなどのパターンがあると思うんですが、このお話の契約結婚は、2人も周りの親族も納得済で、きちんと式も挙げて普通に続いていく結婚なんですよね。
条件で互いを選んだだけのはずなのに、プリシラはいつのまにか、自分しか知らないルイスの姿に惹かれていって、物足りなくなります。
ルイスは優しくて、夫婦仲は良好。
でもこの人は自分じゃなくてもこんな風に相手を大事にしたんじゃないかっていう不安がリアルでいいな、と思いました。
それは夫のルイスも同じで、自分にとって都合が良いからと選んだだけの妻なのに、自分でも知らなかった独占欲が湧いてくる。
彼女の心までも自分のものにしないと気が済まない。
Hシーンも素晴らしいですが、そういった二人の心の移り変わりが丁寧に描かれていて、ラブストーリーとしてもとても素敵なのでオススメです!