著者 :白野佑奈
イラストレーター:黒桁
レーベル :リブラノベル
出版社 :リブリオン
出版年月 :2025年2月
ジャンル:TL、ファンタジー、転生物
ヒーロー:侯爵令息。27歳。
ヒロイン:転生者。公爵令嬢。18歳。
Hシーン: 有り

あらすじ
初夜を迎える直前、夫となる侯爵令息に「悪いが、君を愛することはできない」と言われたユージェニー。そんなことは承知の上で結婚するのだから子作りだけはせねば、と彼女主導で初夜を遂行したところ、彼の様子が変わってきて・・・?
ネタバレあり感想
新しいタイプの「ざまぁ」ものと言っても良いでしょうか。
主人公のユージェニーは転生者だけど、よくある転生物のように「悪役令嬢」になったわけではありません。
なんと、悪役令嬢が追放された後の、ゲームヒロインの逆ハーレムルートの世界に転生しました。
逆ハーレムルートの世界で、ゲームのヒロインは第一王子だけでなく、宰相の息子(この話のヒーローの侯爵令息のこと)、騎士団長の息子、魔導士長の息子、大商人の息子の5人に愛され、学園を卒業してから10年近く、その逆ハーレム状態を続けています。
第一王子と結婚するわけでもなく、男達を囲い込み続けていますが、彼らも良い年なので、跡継ぎ問題もあります。
業を煮やした人々が、彼らに見切りを付け、裏で廃嫡する動きが出ている中、宰相は息子エドワードを何とかしようと、友人であるユージェニーの父に泣きつきます。
ゲームヒロインの長年の逆ハーレムは知れ渡っていて、いくら侯爵令息とは言え、誰も手を出したくない物件。
おまけにユージェニーもエドワードも一人っ子で嫡子。
本来ならあり得ない縁談でしたが、父に頼まれ結婚することに。
そしてあらすじに出てきたお決まりの台詞。
「悪いが、君を愛することはできない」
あ、そう、こちらとて別に好きで結婚するわけちゃうわ(意訳)、と
「じゃぁ離婚するかい?(意訳)」と出て行こうとすると引き留められる。
そもそもエドワードはなぜこんなことになったのか、背景をきちんと理解していない。
ユージェニーが丁寧に冷静に説明すると、離婚する→廃嫡される→自分達が平民に堕ちる→ゲームのヒロインが貧しい暮らしになることを心配したのか悲壮な顔で「離婚はしない」と。
ユージェニーは内心ため息をつきつつ「やることはやるよ。アンタは目をつぶってヒロインちゃんのことでも考えてな(意訳)」と、処女ながら頑張って初夜を遂行しようとします。
そして朝チュンを迎えると・・・どうやら昨晩は途中から激しかった模様。
え、どういうこと?
しかもベッドを抜け出そうとすると捕まって朝から・・・
そう!これがサブタイトル回収の「初夜を一度共にしただけで乙女ゲームの攻略キャラな『氷の貴公子』は私に夢中になりました」なわけです。
最初に読んだ時はユージェニー同様、「は、どゆこと。素人童貞とはいえ、全く初めてなわけでもないのにそんなにチョロいことある?」って思いましたが、エドワード視点のところを読むと、「くはぁ、そんな風に思ってたんだったらしょうがねぇなぁ」って気持ちになりました。
前回紹介した小説でも書きましたけど、わたくし、逆転溺愛が好きなもので。
(ユージェニーは片想いしてたわけではありませんが)
ユージェニーは転生者ということもあって、理知的だし、この世界では公爵令嬢で品も教養もあって、美貌の持ち主なので、完璧ヒロインなんですよ。
ユージェニーと過ごすうちに、「ゲームのヒロイン第一主義」だったエドワードの心に疑念が湧いてきて、自分たちの逆ハーレム状態を客観視できるようになっていきます。
その結果が冒頭に書いた新しいタイプの「ざまぁ」と言うわけで。
ここは面白ポイントなのでぜひお読みいただきたいです。
エドワードがチョロくなった結果、ユージェニー溺愛になって、人格崩壊かと思うくらい言動がヤバくなります。
溺愛好きな私ですらちょっと引くところありますが、まぁ、ユージェニーが幸せならいいや(投げやり)。
「逆ハーレムエンドのその先」の世界に興味を持った方にオススメです!

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