著者 ：日車メレ
イラストレーター：さばるどろ
レーベル ：ロイヤルキス
出版社 ：ジュリアンパブリッシング
出版年月 ：２０２０年８月
ジャンル ：TL、ファンタジー
ヒーロータイプ：策略系宰相、腕っぷしは普通
ヒロインタイプ：周りに溺愛されて育っているが、本人は気も強くしっかりしている。いじっぱり。
Hシーン ：やや有り
あらすじ
将軍家で兄と弟に挟まれた娘一人として父を含む男３人に溺愛されて育ったエリノアは１９歳だが、父達が、「自分たちを倒したものにしかエリノアはやらん」と言っているので結婚できないでいる。１６歳の時にパーティーで出会った公爵アレクシスに心惹かれたが、その後の事件の影響で「彼のことを嫌い」と思っていた。ここへきて再びアレクシスにパーティーで声をかけられ、求婚される。しかも彼は兄との決闘に勝ってしまう。決闘の結果なので受け入れる将軍家だが、「みんなに認めてもらうには僕たちがもっとイチャイチャしないと」と公爵に言われ・・・
ネタバレあり感想
私個人の感想としては、なかなか主人公二人の考えが頭に入ってこなくて、ちょっぴり「ややこしや～」と思いました。
二人とも序盤あんまり素直じゃないんですよね。
アレクシスは３年前、公爵家と将軍家の仲が悪いままでは、今後王太子を支えていく上で政治上良くないと考えてエリノアに近づくんですが、エリノアが知性と勇気のある素晴らしい令嬢だったのでぜひ結婚したいと思います。しかし、襲撃事件をきっかけに二人の気持ちがすれ違い、エリノアに避けられるようになってしまいます。
一方のエリノアは、社交界デビューしたばかりの時にアレクシスに出会い、優雅で筋肉馬鹿の家族とは真逆の雰囲気を持つ年上の男性に好意を持ちます。しかし、こちらも襲撃事件をきっかけにアレクシスと連絡が取れなくなり、「私になんて興味がないんだわ。なによ！嫌い！」と初恋をこじらせてスネます。
アレクシスは政治的状況や、エリノアが他の男に取られる心配から行動に出ることにし、知略で決闘に持ち込み、勝利します。
その辺りで「君が欲しかったから決闘したんだ」と素直に言えばいいものを、政治の状況を理由に使い「将軍家と公爵家が仲良くするため」的なことを第一の理由に出すんですよね。
そのくせ「政略結婚と思われないように周りに思わせ、将軍家の面々にも『私の大好きな旦那様と仲良くしてくれないなら嫌いになっちゃうんだから！』と思わせるようにイチャイチャするんだ」と言います。
エリノアはただでさえこじらせているので「決闘の結果だから受け入れるけど、公爵なんて嫌いなんだから心までは変えられません。イチャイチャもフリだけ」と答えます。
でも実のところ相思相愛なのでフリだけで終わるわけもなく、初夜からきちんとするし、エリノアも「嫌よ嫌よ」といってられるのも最初のうちだけで開発されていきます。
そのくせ最後の方まで二人の気持ちがきちんと向き合わないので、なんかもどかしくて「めんどくせー」と思ってしまった・・・
エリノアとアレクシスが１０歳くらい離れてて、エリノアがアレクシスに大人の余裕で転がされてる部分があるんですけど、私がエリノア側の視点で読んでいるせいか、そういう態度にエリノアと一緒にイライラしたり・・・
お話自体はよく出来てるし、将軍家や公爵家の面々のやりとりも好きなんですけど、主人公二人の恋愛模様にはどっぷり浸かれなかったかな。Ｈシーンは良いと思うんですけど、「年上余裕攻め」が好きな人向けです。