妻を愛してはいけません(イチニ,森原八鹿,ロイヤルキス)      

TL小説

著者      :イチニ
イラストレーター:森原八鹿
レーベル    :ロイヤルキス      
出版社     :ジュリアンパブリッシング
出版年月    :2023年7月

ジャンル:TL、ファンタジー
ヒーロー:伯爵。皇太子の側近。容姿端麗な女好き。
ヒロイン:公爵家令嬢。耳が聞こえない。父親に疎まれて育った。
Hシーン: 有り

あらすじ

生まれつき耳の聞こえないニーナは、父である公爵から疎まれて、家の離れや孤児院で育った。ずっと放置されていたが、政治の駒として使うために呼び戻され、父の政敵である皇太子の側近、フィルソー伯爵ルスランと結婚するよう命令される。ニーナは孤児院にいた時に一度だけルスランと会ったことがあり、それは淡い憧れとして大切な想い出となっていた。政略結婚とはいえ、胸をときめかすニーナだったが、結婚当日にルスランの本心を聞いてしまって・・・?

ネタバレあり感想

タイトル&あらすじで「シリアスでせつないラブロマンス」を想像してましたが、面白い方向に裏切られました笑

あらすじはヒロイン・ニーナ目線で書きましたが、ヒーロー・ルスラン目線で書くと以下の通り。

「フィルソー伯爵ルスランは忠誠を捧げる皇太子から、政敵である公爵の娘と結婚してくれないかと頼まれる。ルスランは『熟女殺し』の異名を取る女好き。結婚するつもりもなかったが、皇太子は、逆にそんなルスランならば、妻に溺れて政敵である公爵に取り込まれる不安もないから適任だと言う。
国のために渋々引き受けるルスランだったが・・・?」

少女時代のニーナが孤児院でルスランと出会って、彼に淡い想いを抱くシーンから物語が始まるので、読者もルスランに王子様的なイメージを持つのですが、大人になったルスランは清廉潔白どころか、女好き。しかも性欲も人並み以上。
救いは、数々の女性と付き合いつつも、付き合っている間は浮気はしないところでしょうか。

皇太子に「公爵の娘を本気で愛するなよ」とクギを刺されますが、「まぁ、僕は誰かを愛することなどないから心配いらない」と楽観しています。

結婚式で初めて(本当は違うけど)顔を合わせて、ニーナの美しさにびっくりします。
ルスランはニーナの耳が聞こえないことも承知の上で結婚しました。
しかし公爵のスパイとして送り込まれている可能性があります。
そのため、初夜に臨む前に「耳が聞こえないっていうけど本当に聞こえていないのかどうか試したほうがいいかも」とある実験をします。

実はニーナは耳は聞こえませんが、読唇術が使えます。
そのことをルスランに伝えるつもりでしたが、ルスランがしかけた実験にびっくりしているうちに伝えそびれてしまいます。
耳が聞こえないと信じ込んだルスランは、ぺらぺらと本心をしゃべってしまい・・・

これって、ある意味、形を変えた「彼の心の声が聞こえるようになっちゃった!」パターンですね。
この後、初夜のシーンになるんですが、もうね・・・読んでるこっちがルスランの代わりに恥ずかしくなりますよ!
だって、聞こえないと思ってペラペラしゃべってるんですから。
ニーナだってびっくりですよ。
憧れていた少年がこんな変な人だったなんて、って。

そんなわけで「状況によってはすぐ離縁することになるから妻のことを本気で愛することはない」って思いこんでるナルシストな残念イケメンと、「なんだか変な人と結婚しちゃったわ」と思って困惑しているヒロインのコメディチックなラブストーリーです。

ヒーローは清廉潔白じゃなきゃイヤという方はちょっとお気に召さないかもしれませんが、浮気はしませんし、なんだかんだで溺愛になっていきます。
ニーナが呆れつつもほだされていくように、残念なところも可愛いと思えてくる(多分)ので、プレイボーイが真実の愛に目覚めていく系のお話が好きな方はぜひ読んでみてください。


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