著者 :泉野ジュール
イラストレーター:八美☆わん
レーベル :ロイヤルキス
出版社 :ジュリアンパブリッシング
出版年月 :2020年4月
ジャンル :TL、ファンタジー
ヒーロータイプ:力と自信に満ち溢れた王、理知的で一途
ヒロインタイプ:虐待のせいで自信を喪失しているが慈悲深く気高い
Hシーン :有り
あらすじ
カリアーノ王国のオルガート王はサバン王国から戦いを仕掛けられ、逆に相手の城を落とす。陥落した城の中で、死んだ国王により地下牢に幽閉されていた国王の妹・リアに出会う。リアはボロ雑巾のような姿で口も聞けなくなっていたが、オルガートは一目で魅せられ自国に連れて帰ることにする。
ネタバレあり感想
これは良き作品ですよ~
あらすじだけ見ると「侵略王が敗戦国の女を自分のものにした」みたいな感じなんですけど、二人が結ばれるまでのオルガートの時間と手と心のかけ方が違う。
リアは腹違いの愚王の兄にその素質を妬まれており、父亡き後、地下牢に幽閉され、少しでも意見をすれば鞭を打つ虐待をされてきました。
また、兄は「お前は醜い」「オマエなんて誰も欲しがらない」と彼女を蔑む言葉をかけ続け、彼女の心を呪縛しました。
城が落ちてオルガートに助け出されても、リアは何か言えば怒られ、鞭打たれるのではないかとびくびくして、言葉がうまく出てきません。
オルガートは汚れを落として見違えるように綺麗になった姿形はもちろん、捕虜となった自国の兵士や世話をしてくれる使用人たちをかばうリアの気高さに魅せられ、彼女を運命の相手だと思います。
オルガートは王で権力もあるので、いくらだって命令して無理やり寝ることはできたでしょうが、リアに心を開いてもらって、彼女の許しを得て結ばれたいと思う男気があるので、どれだけ下半身がうずいても我慢して彼女に優しく接します。
この辺のオルガートの忍耐強さがすごいし、それでも気持ちだけはまっすぐにリアに伝え、リアが兄の呪縛から自分を卑下する気持ちをなくそうと彼女に寄り添う姿勢がいいんですよー。
リアも自信がないながらも少しずつ立ち直ろうとして、オルガートにふさわしくなろうと頑張るし、ベッドを共にするようになってからも素直で可愛いです。
強くてかっこいい王様に見初められた薄幸の姫が幸せになるおとぎ話のようなお話で読後感もいいのでお勧めです。