著者 :きたみまゆ
イラストレーター:春乃まい
レーベル :こはく文庫
出版社 :くるみ舎
出版年月 :2021年12月
ジャンル :TL、現代物
ヒーロータイプ:社長の御曹司で現在は部長クラス。イケメンで穏やかで仕事もできる。
ヒロインタイプ:仕事に一生懸命で真面目。周囲に信頼されるタイプ。
Hシーン : 有り
あらすじ
美波はインテリアメーカーで働く27歳。以前、勤務先の社長子息である成澤部長のプロジェクトチームに抜擢されたことがあり、そのとき、あるアクシデントで彼と一夜を共にして以来、体だけの関係を続けている。そんなことが起きる前から彼を真剣に想っているものの、住む世界が違うことは分かっているのでいつでも身が引けるように覚悟を決めているが、彼は会うたびに甘く彼女を抱いてきて・・・?
ネタバレあり感想
プロローグでゾクゾクっと来ました。
秘密の関係を続ける二人がすれ違って視線が合うだけなんですが、最初からヒロイン美波に同化して御曹司の艶やかな流し目にドキッとさせられるような導入でした。そして今晩彼に抱かれる予感。
筋立て自体はTL小説にありがちな「ハプニングで一夜を共に」「御曹司と身分差を感じて」「彼には婚約者が」の3本立てです。でも、それが分かっていながらワクワクしながら読めました。
美波が「一生懸命な頑張り屋さんの良い子」ってくらいの個性で、あんまり色がないから、入り込みやすいんですよね。
あと、体だけの関係といいつつ、ヒーローの壮真も美波のことを大事に思ってる、というか狙ってる感じがわかりやすく端々に出てくるので「ふ~ぅ♪」と盛り上がります。明らかに嫉妬してたり、「一緒に住みたい」みたいなことを言ったり。
それと、ヒロイン目線なので壮真のHシーンでのちょっと意地悪な焦らしがすごく魅力的に映ります。Hの時に意地悪なヒーローってほかの小説でもいっぱいいるから、何が違うのか、と考えてみましたが、普段上品で育ちが良い感満載なのに、Hのときだけほんの少し意地悪さを出してくる「自分だけに見せる素の雄の顔」みたいなところがグッと来るのかなぁ。
婚約者登場で別れを決意して、また一悶着あるわけですが、最初っから最後まで当て馬の彼が良い味出してくれてホントにグッジョブ!当て馬くんはそんなつもりなかったけど、煽って嫉妬を引き出してくれて読んでるこちらは美味しかったです。
最後に壮真目線の章があって、まぁ、彼が美波のことを最初から好きなのは分かってるので、新たに明かされる真実はほとんどなかったですが、最初のうち好きだと認めてなかったり、自覚して結ばれて喜んだら突き放されたり、変な関係になったばっかりに我慢しなくてはならずに焦れ焦れしてるのは良いですね。
短いお話ですが、気分の悪い悪役とかは出てこなくて、恋のキュンキュンとエロはしっかり味わえるのでオススメです!