軍神王と人質花嫁 甘い口づけは蜜愛の予感 (山野辺りり、サマミヤアカザ、蜜猫文庫)

TL小説

著者      :山野辺りり
イラストレーター:サマミヤアカザ
レーベル    :蜜猫文庫
出版社     :竹書房 
出版年月    :2020年12月

ジャンル   :TL、ファンタジー物
ヒーロータイプ:戦場の黒き悪魔と呼ばれる軍神で賢王、実は腹黒
ヒロインタイプ:育った環境から自己肯定感ゼロ
Hシーン   :有り

あらすじ

ヴェルダニア国の王女でありながら、母が旅の歌姫だったため、身分の低い「いらない王女」として育ったルシア。長年戦争を続けてきたナルテユス国と和平を結ぶこととなり、人質の花嫁として国王ダライアスに嫁ぐこととなった。すぐに首を刎ねられる可能性も覚悟しつつ謁見するが、思いのほか好意的に迎え入れられ・・・?

ネタバレあり感想

虐げられて育った女の子が嫁ぎ先で幸せになるストーリーです。
ヒロイン・ルシアは父王にも存在を忘れられ、王妃には目をつけられ、王宮の隅で使用人たちに馬鹿にされながら育ちました。陰で気にかけてくれるのは王太子のお兄様だけ。
過去に王族として役に立ちたいと思って行ったことも裏目に出て、人々から非難を受けたため、その後、自分の生きる意味を見失っていました。
今まで戦ってきた敵国と和平のための婚姻を結ぶことになり、たとえ敵地に乗り込む人質だったとしても、父王が自分のことを選んでくれて、自分にも自国の国民のために命を捧げるお役目があったと喜び、覚悟を決めて嫁ぎます。
それなのに、結婚相手の国王ダライアスからは労りの言葉をかけられ、侍女たちも心を込めて尽くしてくれ、その歓迎ぶりに茫然とします。
実は敵国だったはずのナユルテス国ではルシアはあることから有名で尊敬の対象だったのです。

まぁ、そんなわけで自己評価がめちゃめちゃ低いルシアが、嫁ぎ先で大事にされることに慣れなくて、なかなか自信が持てなくて、なんどもぺしゃんこになりながら成長していきます。
非常に純粋で心優しいがゆえに、すぐ自信を無くしてドヨーンとなってしまうので、やきもきしますが、ヒーロー・ダライアスが上手いこと諭し、導いていきます。

この辺のダライアスのルシアへの対応は、すごい人格者っぽいですが、実際のところはルシアのことを超気に入っていて、早く抱きたくてたまらんけど、ルシアが真面目でウブだから、怖がらせないように我慢して穏やか~な対応をしています(でも時々眼の色やぼそっとしたつぶやきに出ちゃう)。
いざ結婚したら言葉責めしつつ、ガンガンきます。
ダライアスは一貫して甘いんですが、先ほども書いたようにルシアが落ち込んで波風が立つんですよね。
ルシアの成長には必要なエピソードとはいえ、「周りを信じろ!」と言いたくなります。

そのほか、このお話の読みどころとしては、後半の、ルシアの腹違いの兄である王太子登場ですかね。
ルシアは辛かった母国での生活の中で、王太子だけがルシアを気にかけてくれたので慕っているし、名君になる器だと思っているのでよせばいいのにダライアスの前で褒めちぎっちゃったりするんですよね。
そんなわけでダライアスにとって気に食わない王太子の登場でまた色々あるんですが、ここのやり取りが腹黒感あってこのお話をより一層深めてる感じがします。
良いよね、腹黒・・・

ところどころ主人公が落ち込みつつも一貫して愛されストーリーなので、安心して読めますよー

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