復讐の騎士はいとしい妻にひざまずく(ナツ,小路龍流,ロイヤルキス)   

ロイヤルキス

著者      :ナツ
イラストレーター:小路龍流
レーベル    :ロイヤルキス
出版社     :ジュリアンパブリッシング
出版年月    :2022年10月

ジャンル   :TL、ファンタジー
ヒーロータイプ:復讐のために周囲を利用し、完璧な貴公子を装う男。
ヒロインタイプ:両親を亡くし没落した子爵令嬢。全てを諦めて現状を受け入れて生きている。
Hシーン   : 有り

あらすじ

両親を亡くした子爵令嬢モニカは友人の忘れ形見として公爵家に引き取られ、お嬢様アンジェリカの侍女として働かせてもらっている。ある時、アンジェリカの付き添いで出席した舞踏会で近衛騎士クライブと出会う。令嬢達の憧れの的である彼から求婚され、彼を信じて結婚したが、クライブには隠している事情があるようで・・・?

ネタバレあり感想

ナツさんの作品です。
以前にも取り上げた『ずっとあなたを愛してた 王妃と侯爵』と同じく、ヒーローとヒロインそれぞれが抱える想いが複雑で、先の読めなさにずーっと緊張感が続くような作品です。

最初に家族のために復讐を誓う無骨そうな男の描写が出てきます。

タイトルからしても、この男がヒーローに違いないと思うのですが、場面が変わって、ヒロインの前に現れて求婚する男は物腰が柔らかく一途に愛を囁く完璧な貴公子。

ヒロイン・モニカも最初は「なぜ地味で、今となっては身分もない自分に?」と不審に思うものの彼の誠実な態度に彼を信じることに決め、結婚を決めます。

正直言うと、私も読んでいて途中まで、ヒーローであるクライブのことを「溺愛系ダーリン」なのかと思いこんでました。
しかしモニカのことを心配する公爵家のお嬢様アンジェリカが結婚直前に語った「クライブがモニカに話していないこと」を聞いて不安に。
でも、その時点でも「このお嬢様は嫌がらせでこんなことを吹き込んできたのか?」と思ってました。

しかし、結婚生活が始まっても完璧さの崩れない旦那様と、何だか一線を引かれているのを感じつつも、遠慮して踏み込めないヒロインの「何の問題も無いようでいて表面的な結婚生活」に不穏さが拭えません。
何か彼が隠していることを薄々感じつつも、彼は誠実な人だから「彼が言いたくないことは無理に言わせまい」と我慢して「私のことは気にせず自由に過ごしてください」という夫の要望に添っていたモニカ。
しかし、ある日、彼女はあることからクライブが自分に嘘をついたことを確信してしまいます。
そしてクライブも「自分が嘘をついたことにモニカが気づいた」ことに気づいてしまいます。

復讐のために近づいた男と、彼を一途に愛する女。
クライブが利用するために近づいたことを知っても「あなたのそばにいられるのなら構わない」とモニカは言います。
そしてクライブもモニカの底抜けの寛容さに包まれ、いつのまにか彼女に好意を寄せていた己に気づきます。

クライブの復讐の成就というバッドエンドに向かっていきながら、2人が寄り添う日々が切ないです。
復讐のために全てを利用し、望みが叶った後はどうなってもかまわないと思っていた男がヒロインと出会って揺れ動く様が丁寧に描かれています。
ロマン溢れるラブストーリー、オススメです!


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