著者 :クレイン
イラストレーター:サマミヤアカザ
レーベル :ガブリエラブックス
出版社 :メディアソフト
出版年月 :2021年9月
ジャンル:TL、ファンタジー
ヒーロー:西院侯爵家の当主。人ならぬモノが視える。
ヒロイン:子爵家令嬢。神様が憑いている。
Hシーン: 有り
あらすじ
17歳の子爵家の令嬢、八重子はある日、父から「斎賀家に生まれた娘は20歳まで清らかな身であると我が家を守護する神の嫁にされてしまう」と聞かされる。没落している実家の家族のためにも易々と死ぬわけにはいかない、と結婚相手を探すことにした八重子は、ある夜会で出会った見目麗しい男性からいきなり求婚される。しかし彼には思惑があるようで・・・?
ネタバレあり感想
クレインさんの小説の中では『ヤンデレ魔法使いは石像の乙女しか愛せない』が大好きなんですが、それと同じくらい好きな作品になりました。
舞台は華族制度の残る大正時代。
あらすじにもある通り、ヒロイン八重子の家には代々「生まれた娘が20歳まで清らかだったら神の嫁になる」という神との約束があります。
八重子には霊感がなく、何も視えないのですが、そう言われてみると、今まで色んな災い(主に、八重子の容姿に寄ってきた男ども)が急に遠ざけられて、神様に守られているようです。
ありがたいけれども「神様の嫁=死」は困る、と考えた八重子が友達に相談したところ、鹿鳴館で行われる夜会で結婚相手を探すことになります。
会場に足を踏み入れてすぐ、足早に八重子の元に1人の男性が近寄ってきます。
そして彼はすぐさま跪き、彼女に求婚するのです。
しかし、どうも彼は八重子を見ておらず、八重子の後ろばかり気にしています。
もしかして「神様でも見えた、とか?」
求婚してきた西院侯爵家の当主・要は遺伝する霊媒体質に苦しめられており、西院家の当主は代々若死にしています。
しかし、八重子が現れた瞬間から、彼女に憑いている神様のおかげで霊達が一掃されるのを見て、彼は彼女を逃したくないと思い、求婚したのでした。
「要様が欲しいのは私ではなく、私に取り憑いている『神様』ということですね?」
しかし、結婚して処女でなくなってしまえば八重子に取り憑いている神様は離れてしまう。
八重子は要の求めるものは提供できないと断るが「20歳になるまでの2年と少しで良いから普通の人間のような時間が欲しい。時限がきたら君を抱くから」と懇願されて、2人の契約結婚は成立するのでした。
あらすじや出だしを読んで「なるほど、契約結婚モノかぁ」と思ってたんですよね。
20歳直前まで抱かないと約束したけど、本気で好きになっちゃって我慢できなくなっちゃう系ですか~?と予想してたんですが、半分当たりで半分はずれでした。
お話を読み進めていて「え、そうなるんだ!」「まさかこんな関係性になるとは」「まさかその出来事が挟み込まれてくるとは」と私の拙い予想を超える展開続きでした。
副題をよく見よう。
「守り神と美貌の侯爵にめちゃくちゃ愛されてます」
あれ、これってもしかして3(ピー)・・・
その真相はぜひ、本作をお読みいただきたい。
わたし的には、ヒーローの要が、普段はちょっとカッコつけで無表情なのに、妻溺愛で、閨の中ではちょっぴりSなところがたまらんポイントです。
あと、クールっぽいのになんだかんだ優しい。
お母さんに対しても普段は息子っぽくそっけないけど、ちゃんと優しい。
そして金持ちでイケメン・・・最高やん。
要のお母さんもとっても素敵なんですよね。
ヒロインの八重子は明るくて健気だし、最高の嫁姑。
ヒーローも、ヒロインも、守り神も、自分も犠牲にしても良いと思うほど、互いを大事にしていて、それゆえにどの選択肢が正解なのかわからない。
2人と1柱の関係性が暖かくてユーモラスなんだけど、ちょっと切なくてジーンときます。
お人好しな優しい人たちのお話をぜひお楽しみください!
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