美貌の宰相様がまったく乗り気でなかったので、好き勝手したら、なぜか求婚されてしまった 溺愛とお菓子でお腹いっぱい (IO(伊川伊織),坂本あきら,リブラノベル)     

TL小説

著者      :IO(伊川伊織)
イラストレーター:坂本あきら
レーベル    :リブラノベル      
出版社     :リブリオン
出版年月    :2026年6月

ジャンル:TL、ファンタジー 再婚もの
ヒーロー:公爵家出身の美貌の宰相。離婚歴あり。35歳。
ヒロイン:伯爵家出身の未亡人。27歳。
Hシーン: 有り

あらすじ

伯爵家出身のエリナは10年連れ添った夫を事故で亡くし、王都の実家に帰ってきた。誰か良い人がいれば再婚でもと考えていたら、10年前に完璧カップルとして結婚したものの3年で離婚した宰相からお茶会(お見合い)の招待が。期待しないで行ったら案の定、宰相は乗り気でなかった・・・はずなのに、なぜか次の日、「また会いたい」とお手紙が来て???

ネタバレあり感想

再婚物です。

私はTL小説にロマンを求めているので、非現実的と自分でも思っていても基本的には真っさら✕真っさらが好き。
1人の女に一途過ぎて20代半ばになっても真っさらの男とか本当にいるんやろか、それで初めてのプレイで完璧とかどんな自己学習してんの、と頭の片隅で疑問に思ってもロマンを追い求める。
再婚物ならば、あらすじに明らかに「白い結婚」と書いてないと興味を惹かれない。

そのはずなのに、タイトルに再婚要素の匂わせが無かったので再婚物と気付きませんでした。
しかも男も女も再婚のダブル再婚。
未亡人と夫の弟とかではない。
若い頃に亡くした妻を想い続けるナイスミドルでもない。
えー、まいったなぁ、興味持てるかなぁ?と思って読み始めました。

主人公は10年連れ添った夫を事故で亡くしたエリナ28歳。
「実は仮面夫婦」とかじゃなくて、気の合う友達のように仲良くちゃんと夫婦をやってきてるっていうのがそもそも珍しい。
あっけらかんとした夫はあっけらかんと事故で死んでしまい、残された父母や甥などの家族はひとしきり悲しんだものの「アイツは天国で楽しくやってるはず」とあっさり立ち直った。
エリナも生前から夫に
「エリナは図太くてたくましいから俺が死んでも誰かと再婚して幸せになれるだろう」
と言われてたし、嘆き悲しんで暮らすよりも、私は私で幸せにならなくてはと実家に帰ることに。

エリナは言動が気取ってなくて率直。
悪く言えば「あけすけ」←これ、この作品で重要なキーワード
そして、おおらかで、無駄にウジウジしていない。
自分が伯爵家程度の家格で、出戻りの未亡人で、27歳と若くはなく、見た目もそんなにぱっとしないという客観的な身の程はわかってる。
だからといって自分を卑下することはなくて、「こんな私でもいいと思ってくれる良い人がいれば再婚しようかな」というスタンスで、ダメなら修道院行くか〜という精神。エリナの周りの人たちも彼女のそういうところを彼女の良さとしてそのまま受入れてくれてるところが良い。

そんなエリナのところに10年前に美男美女の完璧カップルとして結婚したものの、3年で離婚して今では女嫌いと噂されている宰相からお茶会の招待が。
この世界ではお茶会といっても実質お見合いのようなもの。
いくら離婚して独身とはいえ、公爵家のイケメン宰相様と??
間違いでは?と思いつつ、過去にお見かけしたあの美貌を間近で見られたら目の保養になるし、話のタネになるかと行ってみることに。

一応、お茶会に向かう馬車内で「もしかしたらどっかで見初められたのかも?」と妄想してみたりもするものの、到着してみるとお疲れのご様子の宰相様から「申し訳ないんですが、私は今、結婚は考えていないんです」と。
TL小説にありがちなお決まりの「キミを愛することはない」みたいやんけ。

とはいえ、エリナはそれでショックを受けたりはせず、
「ですよね~」
と思うのみで、せっかくなので公爵家が用意してくれた有名なお菓子やお茶を思う存分堪能していくことに。
でも1人で黙って食べるのもつまらないな、と宰相様を会話に巻き込み質問責め。

そして日が暮れてくると
「あざっしたー。あ、うちから断れないからそっちから断ってくれる?」(意訳)
くらいのあっけらかんさで帰っていく。

そして翌日、良い経験をしたなぁくらいの気持ちでいたところ、宰相から「また会いたい」とお手紙が。
しかも「あなたのような優しい女性には今まで会ったことありません」と。

優しい〜??

あまりに自分に思い当たる節がなさ過ぎて、宰相様は人違いで手紙を出したと思うエリナ。
しかし人違いでも招待されてしまったし、直接「間違いですよ」とお伝えするしかないか、と再度公爵邸へ。
すると、前回乗り気じゃなかったはずの宰相様がニッコニコで待っていて…

そういえば書くの忘れてましたが、エリナは宰相の顔面、好きなんです。
メッチャイケメンが、前回とは打って変わって、微笑みながらいっぱい話してきて、なんだかすごく自分のことを好きらしいということは伝わってくる。
しかし「あなたは優しい」とベタ褒めしてくる理由が全くわからない。
結婚できるのは嬉しいけど、自分は平凡だし、宰相と釣り合ってないように思うのに、好かれている理由が「優しい」とかいうわけわからん思い当たる節がないことで。
このまま進めちゃっていいのかなぁ?っていうエリナの正直なところが読んでて好ましいんですよね。
そして、宰相は何をもって「優しい」と言っているのかというのがこの話の肝なんですけどね。

その肝のところは本編でも宰相の口から語られるんですが、書き下ろし(にしてはすごい分量)の「クリストファー・リード王国宰相物語1~3」で、宰相視点ですんごい分かりやすく本人が語っているので、ぜひ読んでいただきたいです。
X(旧Twitter)で巷の夫、妻、彼氏、彼女などが各々の視点でパートナーとのすれ違いについて愚痴のツイートしてるのをよく目にするんですけど、この小説を読んでて、それらを思い出しました。
大事なのは「あけすけ」
大事なのは「あけすけ」
宰相はエリナに出会えて良かったね、って思う。
でも私は宰相の元妻の気持ちもわからんでもない。
宰相の言動について「そうじゃないのよ」ってたぶん思ってる。
でも「言わなくてもわかるでしょ」じゃやっぱりだめなんだよ。

それはさておき、第9章のタイトルが「宰相様はすごい」で、第10章が「宰相様がすごすぎる」なんですけど、何がすごいって何はナニですよ。(オヤジギャグか)
再婚に伴うあれやこれやの杞憂を吹っ飛ばしてくれます、理性とともに。
そして囲いこまずにはいられない、本気で欲しい女を見つけた男の溺愛執着がすごすぎる。
ソフト監禁。
本編でソフト(?)に描かれていたソフト監禁の期間とその後の結婚までの期間について、宰相視点のストーリーが前述の「クリストファー・リード王国宰相物語1~3」(第12~14章に該当)で読めますので「思ってた以上にヤバイ奴だった」と震撼してください。

再婚同士とか全然気にならないくらいあけっぴろげで面白いのでオススメです!


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