著者 :クレイン
イラストレーター:ことね壱花
レーベル :蜜猫文庫
出版社 :竹書房
出版年月 :2020年10月
ジャンル :TL、ファンタジー物
ヒーロータイプ:素直、誠実、純朴な聖騎士
ヒロインタイプ:超美形男装少女、世間擦れしている
Hシーン :やや有り
あらすじ
シルヴィアは難民の暮らす花街で母から男装するよう言われて育った。ある日、花街にいかにもお坊ちゃんでカモ丸出しの聖騎士アルヴィンがやって来た。彼は人を探していると言う。亡き母にいつかこの街を出るよう言われていた彼女は「あなたの探し人の顔を知っているから従者として雇わないか」と言ってアルヴィンと旅することになるが、実は彼の探し人自身が彼女であり・・・
ネタバレあり感想
詳細ページの帯のあおり文句が「マジメでDTの騎士様の愛は熱くて重くてキモチイイ」なので「かなりキワモノだな・・・」と思いながら選んだのですが、DTはともかく、誠実な二人の感動ストーリーでした。
アルヴィンは、ヒーローのわりに聖騎士の制服を着ているからなんとかそこそこ見えるもののぱっとしない見た目で、お人よしで世間しらずな男です。
自らが彼の探し人でありながら、それを黙って「僕は記憶力がいいから、探し人の顔を覚えている」と言って一緒に旅するシルヴィアは、なんだかんだそんな彼を放っておけないし、過ごす時間が長くなるうちに、彼の見た目だけではわからない誠実さや真面目さを知り、彼に惹かれていきます。
アルヴィンには「結婚相手に自分の純潔を捧げる」という信念があり、誰に馬鹿にされてもそれを曲げず貞操を守っています。
それを最初のうちは笑いつつも、彼に見合いの話が持ち上がると彼の純潔を捧げられる令嬢に嫉妬が抑えられません。
一方のアルヴィンも、シルヴィアが男だと思っていても、見た目が極上で、頭の回転が速く、小悪魔的な物言いに惹かれてやみません。
翻弄されまくってます。
そんな二人の恋物語が主軸なのですが、一方で、二人の暮らす国は神殿に住む聖女により神の加護を受けており、国民はそのおかげで災害や戦争に苦しむことなく、平和ボケしています。選民意識が高く、よその国の人間を蔑んでいます。
シルヴィアが育った花街も他国から難民として来たものの、受け入れられずに流れついた人たちの集まりなのです。
実はすでに聖女が失踪して国が神の加護を喪って傾きつつあるという国内情勢の中、実は聖女であるシルヴィアがどういう路をたどるのか、聖女とは結局なんなのかという聖女にまつわるお話も後半出てきます。
とはいえ、そんなに暗いお話ではなく、主人公二人の恋人になる前の掛け合いも、結ばれた後のイチャイチャも楽しく、主人公たちを見守るアルヴィンの父母もとってもいいんですよね。
国民の差別意識の中、家族が結束していて心温まります。
著者曰く、結構ページ数のあるお話とのことですが、長さを感じずに読めました!
純朴ヒーロー×小悪魔ヒロインの組み合わせ、そして純潔捧げたら猿になっちゃうヒーロー(笑)がお好きな方はぜひ!