著者 :鬼頭香月
イラストレーター:氷堂れん
レーベル :フェアリーキス
出版社 :ジュリアンパブリッシング
出版年月 :2022年2月
ジャンル :TL、ファンタジー
ヒーロータイプ:切れ者イケメン王太子、誠実だが虎視眈々とヒロインを狙う
ヒロインタイプ:伯爵令嬢だが侍女、人柄が良いので周りから信頼されている
Hシーン : なし
あらすじ
ニーナは第一王女の侍女。伯爵家の令嬢だが、人の良い父が詐欺に遭って没落しているため、デビュタントの時に王太子に踊っていただいた想い出だけを大事に結婚は諦めている。王家には王女と王太子のほかに第二王子がいるが、度々かんしゃくを起こすため、侍女が長続きしない。新しい侍女を探すまでのつなぎに王太子に頼まれてニーナは第二王子の侍女となることに。優しいけれどきっぱりした応対をするニーナに懐き始める第二王子。女性としてニーナを狙う兄の王太子に嫉妬した彼は、ニーナを取られまいと一計を案じてとんでもない事態に・・・!?
ネタバレあり感想
このお話を読んでいて「完璧イケメンのヒーローが鈍感ヒロインに対し、ちょっとずつ意識してもらえるように奮闘するお話が大好きだー!」としみじみ思いました。
あらすじの通り、ニーナは伯爵家の令嬢ですが、実家が詐欺に遭って貧しくなってしまったので王宮に働きに来ており、持参金が用意できないし、素敵なドレスもないので結婚は諦めています。侍女としての身の程をわきまえているので、王太子からレディとして扱われても「私は侍女なので・・・!」と頑なに拒みます。
一方、王太子はニーナのデビュタントの舞踏会で出会った際に彼女に一目惚れ。しかしニーナはデビュタントこそ父がお金をかき集めて出席できましたが、それ以降はパーティーに出席することもなく、王太子はもう1度会うこともできません。彼女の窮状を知り、手を回して王宮での働き口を斡旋するものの、王太子と侍女では親しくなるきっかけもなく。また、王太子として様々な国の課題を抱えて忙殺されているので、女にかまけるわけにもいかず、悶々としながら想い続けています。
そこへ第二王子問題。手がかかるものの、日頃から弟をかわいがっている王太子は、ニーナが第二王子の臨時侍女になったのを良いことに第二王子の部屋を訪れるついでにニーナとの距離を詰め始めます。
しかしニーナが気に入った第二王子リオンは「ニーナは僕の侍女だよ!」と警戒。兄のことは大好きだけど、いつも優秀な兄と比べられて悔しい彼は兄と入れ替わることを画策します。ところが、計画は失敗し、ニーナとリオンが入れ替わってしまうことに。
私はこのお話のタイトルを見たときに「入れ替わることで何で恋が始まるのかな?第二王子がヒロインの恋を成就させようとヒロインの代わりにあれこれしてくれるのかな?」と思ってたんですよね。
しかし、実態としては「中身がニーナなのを当然知っていながら弟(第二王子)を可愛がるふりをして口説いてくる王太子」でした。第二王子が入れ替わっているなどと知られるわけにいかないので王太子、第二王子、ニーナはいつも3人で過ごすことになり、「ニーナが臨時侍女をやっている間に絶対口説く!!!!」と決めている王太子には絶好の機会。激務の合間を縫って押して押して押しまくる。
ニーナは「まさか王太子が貧乏貴族で侍女の私を相手にするわけがない」と思っているので、プレゼントも固辞、甘い言葉も本気で受け取らないでスルーしまくるんですが、王太子はめげません。とにかく自分を意識してくれるように接近戦に持ち込みます。
こういう攻防がニヤニヤキュンキュンできて最高なんですよね~
あ、あと完璧イケメンのくせに案外嫉妬深いので、幼い弟にもニーナの幼なじみにも嫉妬しまくりです。そういう大人げないところも素敵・・・♪
私はお兄様(王太子)がニーナを狙っていることを知りつつ牽制する王女が(出番は少ないですが)好きでしたね。
わりと長めのお話ですが、楽しく気持ち良く読めます。ほのぼのしたお話が好きな方にオススメです。