影の花嫁 (山野辺りり、五十鈴、ソーニャ文庫)

TL小説

著者      :山野辺りり
イラストレーター:五十鈴
レーベル    :ソーニャ文庫
出版社     :イースト・プレス 
出版年月    :2013年10月

ジャンル   :TL、執着系、現代物
ヒーロータイプ:特殊能力持ちの一族の当主
ヒロインタイプ:おとなしく見えるが芯は強い
Hシーン   :有り(凌辱あり注意)

あらすじ:

母娘二人きりで暮らしてきた母が亡くなり失意の八重の元に、ある日黒ずくめの男たちが現れ、見知らぬ屋敷に連れてこられてしまう。そこは特殊能力で政財界を陰で動かす九鬼家だった。そこで当主・龍月と引き合わされ、「お前は俺の子供を孕むためだけに存在する影の花嫁」と告げられ、無理やり抱かれてしまう。そのまま閉じ込められ、毎晩のように相手をさせられるようになり・・・

<ネタバレあり感想>

「歪んだ愛は美しい。」がキャッチコピーの「執着系乙女官能レーベル」ソーニャ文庫です。
2回ほど他の作品を紹介した山野辺りりさんの小説が良かったので、「kindle unlimitedで他にもあるかな?」と思い、探してみて見つけました。
「いつまで被害者ぶっている?こんなに濡らして感じている癖に」という如何にもな凌辱シーンから始まります。
初めて会ったのにいきなり龍月から憎まれていて、影の花嫁という役割を押し付けられ、純潔を散らされ、逃げることもできない八重。
こんな目に遭わされて龍月を恨んでいるのに身体だけ快楽に慣らされてしまい、自分を恥じています。
ある時、龍月に連れ出され、彼が八重の母の遺骨を丁寧に扱い、きちんと墓を建ててくれていたことを知り、八重の気持ちが変わり始めます。
その帰り、命を狙われた八重を龍月がかばってくれたことをきっかけに龍月の過去を知り、憎いはずの龍月を受け入れるようになり、二人の心が通い始めます。
しかし、そのタイミングで実は龍月と自分の父が同じであることを知り、普通の世間で育ってきた常識的な八重は兄妹で交わる禁忌を受け入れられず、龍月を拒絶します。
実は父が同じであることを知っていてあえて黙っていた龍月は離れていこうとする八重を許せず、執拗に繰り返し抱き、自分と同じ闇に落とそうとします。
「影の花嫁」と対する「表の花嫁」候補の存在を知ったことや、自分に執着する龍月が元の冷たい表情に戻っていくのを見て、自分の存在が龍月を苦しめていると思い、八重は助けを借りて逃げ出します。
龍月の目をかいくぐっての外での生活の中で、母の過去を知り、異母兄妹疑惑が解消され、彼への想いが募りますが、表の花嫁への嫉妬心から戻りたくはないと思う八重の元へ、とうとう見つけ出した龍月が現れ再び連れ去ろうとします。
殺される覚悟で自分の想いを伝えた八重の言葉を最初信じられない龍月ですが、次第に受け入れ、表の花嫁との婚約は解消したと告げ、二人の想いがつながります。
そのままハッピーエンドかと思いきや、そう一筋縄にはいかないところがソーニャ文庫なんですかね。
まあ、そこは本編を読んでいただくとして。
やっぱりこの作者さんのHシーンが描写が丁寧で好きですね。
イラストも八重ちゃんの清楚な淫らさと龍月の男前なところが十分に表れてて見る価値ありです。
自分の過去から逆恨みしていたのに、いつしか彼女自身を自分のものにしておきたくて、自分が囚われているこの闇の世界に彼女を堕としてやろうとするのに、彼女がいつまでも汚れず光輝いていて、傍から離れて行ってしまうのが怖くてたまらない。
そんな男の執着心が存分に味わえる作品です。

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