著者 :上原緒弥
イラストレーター:いずみ椎乃
レーベル :こはく文庫
出版社 :くるみ舎
出版年月 :2020年8月
ジャンル :TL、ファンタジー
ヒーロータイプ:冷酷と噂されているが真面目で優しい
ヒロインタイプ:健気系、真面目で慎み深い
Hシーン :やや有り
あらすじ:
シャロンは侯爵令嬢だったが、父母が亡くなり叔父の伯爵家に引き取られる。優しかった叔父もすぐに亡くなり、その後は叔母とその娘アデラに使用人として扱われ、苛め抜かれる。19歳になった頃、アデラに冷酷で醜悪と有名な隣国の宰相マティアスと結婚するよう王命が下る。しかし、わがままなアデラはそんな結婚は嫌だといい、アデラの代わりにシャロンを送り出す。脅されてアデラの振りをして嫁いだシャロンは、マティアスが噂とは全然違う人物であることを知り、徐々に惹かれていくが、彼や周りを騙していることに罪悪感を感じて・・・
<ネタバレあり感想>
ちょっとシンデレラみのあるストーリーです。
引き取られた家の叔母と従妹に使用人としていびり倒された挙句に、同僚を人質に取られて、従妹アデラの代わりに悪い噂のある隣の国の宰相マティアスに嫁ぐことになったシャロン。
出会ってみると、噂とは違い彼は端正な顔立ちで、屋敷の人たちも暖かく、シャロンはほっとします。
しかしマティアスは初日に触れてきたきり、その後はシャロンを避け続けます。
その間、マティアスは事前に調べていた「アデラ」の人物像と印象の違うシャロンに身代わり疑惑を持ち、ひそかに探っていました。
そしてシャロンが5年前に逢った忘れがたい少女であることを知り、身代わりをばらして彼女が酷い家に帰る羽目になるよりは自分の元にしばらく置いて、のちのち理由をつけて離縁しようと考えます。
態度が軟化したマティアスと時間を過ごすうちにシャロンはマティアスに惹かれ、マティアスもシャロンを手放し難くなり、二人は良い雰囲気になるのですが、叔父の墓参りに行った際にその様子を従妹アデラに見られます。
最悪な結婚相手だと思ってシャロンを身代わりにしたのに、目にしたマティアスがカッコよくて紳士で、シャロンが幸せそうにしているのも腹立たしく、「彼は元々自分のものなんだから」とアデラは母に相談して奪ってやることにします。
この辺がシンデレラの意地悪な継母と継姉って感じですよね。
最終的には叔母と従妹が懲らしめられてハッピーエンドで「正義は勝つ」みたいなカタルシスのあるお話ですね。
お屋敷の執事さんとかメイド(?)のおばさんがヒロインに優しくしてくれて味方してくれるのとかも、感情移入して嬉しくなっちゃうんですよね。
薄幸の少女が苦難を乗り越えハッピーエンドみたいなお話が好きな方にはオススメです。